住宅地でガーデニングを楽しんでおられる方に農薬使用を強制する…
ハッキリ言って現実的ではありません。
一般の方々が農薬取締法を厳守できるでしょうか?
一般の方々は植物栽培を何かで習ったわけではありません。
まして、農薬のことなど習う場がありません。
ちなみに、農業者も農薬に詳しいわけではありません。適正使用できていない方が圧倒的に多くなっています。
今と昔では違う!
日本の園芸はマニアックな世界でした。
庭は日本庭園として、主に庭師が作り管理します。
鉢植えは盆栽があります。昔から親しまれた日本の文化です。
一方、ガーデニングと称される植物栽培は一般の方でも気楽に楽しめる世界です。
女性の方や若い方が気軽に植物や花を育てられるという欧米文化でもあります。
現在の日本では、気軽に楽しめるガーデニングが主流です。
ガーデナーの方々に農薬使用を強制させるというのは、本来はあってはならないことです。
農薬の危険性を知らない!
一般の方々は農薬の危険性を知りません。
もちろん、それを習ったことはなく、習う場もありません。
ガーデナーの方々に農薬使用と自己責任を強制するようなことはあってはならないことです。
適正使用できるのか?
住宅地での農薬適正使用ほど難しいものはありません。
まず誰もされていないものと推測できます。
重装備できるのか?
防護服、防護めがね、防護マスクをして薬剤散布するのが農薬の基本的な散布スタイルです。
さて、住宅地でこのような場面を見た方はどう思うでしょうか?
このようなテロ行為と見間違うようなスタイルでなければ農薬散布はできません。
しかし、これを近隣住民は許すでしょうか?
また、散布する本人以外に重装備を求めることはできますか?
ご家族、近隣の方、通行される方など…SFの世界のようになりますね…
ドリフト対策できるのか?
農薬散布する場合、他人の敷地に薬剤が飛ばないようにするドリフト対策が必須です。
これ、とてもノーテンキに考えられやすいですね。
無風と感じても、噴霧された薬剤はかなり遠方まで飛んでいきます。
病害虫防除で噴霧する基本は、葉裏に薬剤を噴霧します。よって、噴霧の向きは下から上となり、薬剤は空に舞い上がります。
農地のような広大な土地であれば、ドリフト対策は可能です。
しかし、住宅地というのは近隣まで数m程度もありません。
実際、私でもバラ栽培では住宅地のドリフト対策は不可能だと思われます。
これがビニールハウス内での薬液撒布による空間の状況です。
これが野外だと、すべて風に乗って飛んでいきます。
近隣の方々に農薬使用の告知ができるのか?
農薬を散布する場合は、その告知を近隣住民に対しておこなわなければいけません。
これは現実に可能でしょうか?
理解を求めることもままならず、住宅地での農薬散布は迷惑行為にされています。
その他、いろいろあります。
農薬使用に関しては危険性が伴いますので、いろいろな取り決めがあります。
ただ、それは農地での散布で考えられた取り決めばかりです。
しかし、住宅地で農薬を使用するということは住宅地でその取り決めに準拠しおこなわなければいけません。
私はまず無理としか言いようがありません。
住宅地は人々の生活空間である!
農薬というのは、本来は農地である田畑で使用するものです。
もちろん、安全性というのは農地で使用した際の安全性です。
住宅地というのは、生まれたばかりの赤ん坊、お年寄り、身体が不調な方、化学物質に敏感な方…
いろいろな方々の生活空間です。
それを、「人間が栽培管理している植物はすべて農産物」という詭弁で農薬を住宅地で強制使用させています。
もはや、無謀と言わざるを得ません。
農薬は残効性が強い!
農薬は残効性、つまり散布してから長期間農薬効果が持続するようになっています。
よって、この残効性を持つ農薬は散布時だけ危険なのではありません。
水の蒸発で一緒に空中に舞ったり、乾いて粉になった薬剤が風で飛ばされ、雨にも溶けていきます。
希釈時の薬液の安全性というのは、これはまやかしです。
希釈して使う農薬の濃度は一定にはなりません。
希釈した水が蒸発すれば農薬濃度が上がっていきますので、かなり危険なものになります。
もはや、住宅地での農薬は汚染物質と考えるべきです。
生活の場では農業者も農薬は使わない!
農業者が農薬散布する場所は田畑です。
農業者は、子供や孫が生活し遊ぶ空間で農薬散布などおこないません。
また、自分たちが食べる分の野菜や果物は農薬を使わない農業者がとても多いのが滑稽です。