植物の病気の大半は糸状菌によるものです。この糸状菌の解説は別のところに書いています。これをまずはしっかり読んでから進んでください。
前の記事で、ハウス丸ごと洗浄(除菌)の話をしました。
この作業は、まだ鉢バラを置いていない冬におこないます。
実は…写真には写っていませんが、もちろん目にも見えませんが、このハウスには病原菌の胞子がいっぱいあります。
草のタネも目には見えないですよね。それよりももっともっと小さい糸状菌の胞子など目に見えるはずもありません((*^▽^*)
では、どうやったら見えるのか?
いろいろなところから採取して顕微鏡で見たりシャーレで培養して存在を見ることになります。
目には見えませんが、この栽培ハウスにはうどんこ病、黒点病、ベト病、灰色カビ病、サビ病、すす病、フザリューム菌…ありとあらゆる病原菌の胞子が溢れるほど存在しています。
ビニールに付着していたり、パレットとか防草シートとか、空の鉢やハウスのパイプや天井にも付着しています。積もっていることも…
そして、空気中にはいっぱい胞子が舞っています。

なんだよ!この栽培ハウスは病原菌のオンパレードじゃないか!こんなところで育てたら病気だらけだ!
と、そう思えると思います。でもね…
ハウス丸ごと洗浄した上記の写真が1月、その後に新苗を植えて置き、その新苗を6月に7号鉢に植え替えての8月の姿がこちら(*^▽^*)
このバラはすべて出荷されたり親木になったり、そして冬になるまでにすべて鉢は無くなって、また1月にハウス丸ごと洗浄から始まります。
これを毎年繰り返しています。
病原菌の胞子だらけなのに、ラクラク無農薬で育てられるんですよね!

不思議ですよねえ!
でもね、そういうことなんです。
植物の病原菌でも、バラの場合は根頭癌腫病菌を除いては糸状菌の常在菌なので、胞子は存在しています。
このハウスでうどんこ病が出なかったとか黒点病が出なかったとしてもそれぞれの胞子は存在しています。
さて、胞子はたくさんあるのにどうしてバラは病気まみれにならなかったのか?
(1)あらかじめ栽培ハウス丸ごと洗浄をしておいたから
(2)胞子が発芽し菌糸を伸ばす環境や条件を避けてきたから
(3)病気は出たが、緩和策で被害とはならなかったから
わかりますよね!
(1)と(2)は緩和策です。よって(3)となったという、これが無農薬思考です。
(1)は実際に具体的にやっていることなのでわかりやすいですが、(2)は(1)のような具体的な対策がたくさんあります。
この(1)と(2)の病気に対する緩和策を続けていくこと、「少しでも良くしていく」緩和策を積み重ねる無農薬思考により、ゆうきの園芸ショップのバラ苗生産はラクラク無農薬で高品質の苗を生産できているわけです。
いかがですか?無農薬栽培の本当が見えてきましたか?