常在とか非常在とか、栽培では聞き慣れない単語ですが私はよく使いますし有機栽培では大事なことなので覚えてくださいね!

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根頭癌腫菌は非常在菌である!

この言い出しっぺは私です(*^▽^*)
そして、他ナーセリーから根頭癌腫菌は常在菌だと反論もあるみたいです。
この常在菌とか非常在菌というのは殺菌や除菌などの衛生管理から私が栽培に持ち出した言葉です。
では、それはどういう意味かを解説します。

■常在菌 …存在している菌、存在すべき菌のこと
■非常在菌…存在していない菌、存在すべきではない菌のこと
■在来菌 …日本古来より存在している菌のこと
■外来菌 …海外から入ってきた菌のこと

根頭癌腫菌は南米から入ってきたというのが世界的通説のようです。
根頭癌腫菌は日本の在来種である桜や梅にも感染しますので在来菌であったというのは無理があり、外来菌と考えるべきです。
私が「根頭癌腫菌は非常在菌である!」と言い切っているのは、もちろんバラのためにも日本の在来種を守るためにも存在させてはいけないからです。
それに対して他ナーセリーは根頭癌腫菌は常在菌だと反論します。意味がわかりません…

バラのガーデニングでは、常在と非常在はこのように考えます。

たとえば、マメコガネはバラのガーデニングにとってはとても厄介な存在です。
花は傷めるし、産卵されて根を食い荒らされる…
ところが、マメコガネは日本の在来種であり日本の生態系の中に存在しています。よって、非常在とはできません。
ただ、マメコガネは日本の在来種ですがアメリカでは外来種です。アメリカでマメコガネが農作物に被害を与えていますので、この場合は非常在として駆除されるのでは?と思われます。

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ではここで、常在と非常在の殺菌の違いを解説しますね。
殺菌なので常在菌と非常在菌にわけてみます。

常在菌への殺菌

通常の殺菌は常在菌、つまりはその環境において普段から存在している菌(常在菌)に対して増えすぎないようにおこないます。

うどんこ菌や黒点菌、ベト菌はバラに悪さをしますが常在菌です。
ですから、増えすぎてしまった常在菌に対して数を減らす目的で殺菌します。
殺菌や除菌で一気に数を減らしますが、常在菌なのでやがて戻ってきます。

殺菌や除菌は特定の菌だけ殺すということはできませんので、上図のようになります。

非常在に対する殺菌

非常在菌を対象にした殺菌も同じようにおこないます。
一時期、殺菌剤や除菌剤ですべての菌の存在を無くします。その後、常在菌は戻ってきますが非常在菌は戻ってこれません。

バラの根頭癌腫病、人間のコレラ菌など、日常で存在してはいけない非常在菌対策は同じです。
非常在に対しては、とても強力な殺菌剤、除菌剤を使っておこないます。

徹底駆除するのは非常在に対して!

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考え方はとてもカンタンです


日本の山にライオンが逃げ込めば、ライオンは非常在なので1匹残らず徹底的に駆除します。
日本在来種の熊やイノシシも人間の命を奪う危険な存在ですが、だからと根絶やしにすることはしません。

私たちが駆除すべき対象は「その場所に存在してはいけない非常在に対して」です。
この非常在は、そもそも存在していなかったモノやその場所に存在してはいけないモノが含まれます。
なのに、常在を非常在にしようと勘違いし、農薬の乱用が始まります。

たとえば、黒点病対策で農薬のダコニールを住宅地の庭で土壌に潅水する方法があるそうです。
でも、黒点病菌は糸状菌なので風上から胞子も飛んできます。
黒点病菌を非常在にするのなら、風上5kmぐらいをすべてダコニール潅水しないと(*^▽^*)
マメコガネを非常在とすべきなら、風下の山にマメコガネを殺せる殺虫剤を散布しまくらないと…
非現実的ですが…

でも、外来種のカミキリムシやヒアリなどはそれぐらい徹底的に駆除しなければいけません。
非常在にしなければいけないのです。

バラのガーデニングでの常在・非常在の区別

まず、住宅地でおこなうバラのガーデニングですので、最優先で考えるのが安全管理と衛生管理です。
有機栽培や無農薬栽培である前に、これをしっかり考えていってください。

非常在は人間に害を及ぼす菌や虫、不衛生な菌や虫です。
スズメバチやムカデ、ハエや蚊、ゴキブリやシロアリ、大腸菌やブドウ球菌、レジオネラ菌など、これはガーデニングにかかわらず私たちの生活空間では非常在です。
駆除するか対策するか…
安全管理、衛生管理を徹底してください。

次に非常在とすべきは、バラに大きな被害を与えるモノです。
これは根頭癌腫病とカミキリムシです。また、外来種の病害虫は徹底駆除対象です。

それ以外は常在扱いとします。
バラに被害が出ないように、増殖すれば減らし、季節に応じて対策していきます。
農業では非常在とすべき病害虫もありますが、バラのガーデニングにおいては常在であるのに非常在にすべき病害虫はこれといって無いと考えます。
個人差もありますので、ここはこれから皆さんがいろいろ学んでください。

土壌に出た白絹病には脅威を感じるのに、手に付いた大腸菌には無頓着(*^▽^*)

農業とは違う、人々の生活が第一のバラのガーデニングです。
それにふさわしい病害虫対策をやっていきましょう!