巷ではバラを鉢で育てるのは難しいとされています。地植えよりも鉢植えはとても難しいと…
確かに、一本杉の寂しい姿のバラの鉢植えをよく見ます。
とても可哀想な姿…やはりバラを鉢で育て続けるのは難しい?
でも、ゆうきの園芸ショップの会員の方々は難しいとされているバラの鉢栽培でラクラク無農薬しています。
どうして?
それはね…
「鉢の土の表面が乾いたら水遣り」を信じているか信じていないかなんです。
それだけなんです…
事実として、プロや上級者は「鉢の土の表面が乾いたら水遣り」なんてやってないですよ!もしやっていたら下手くそなプロや上級者です(*^▽^*)
そもそも…
「水遣り3年」とかうそぶいているのに、やってることが「鉢の土の表面が乾いたら水遣り」だとねえ…矛盾してるでしょ?
ゆうきの園芸ショップでは、皆さんに鉢栽培でバラをめいっぱい愉しんでいただくために本当のことをお話ししています。
枯らせて儲ける気はゼロなので…
本当は…
鉢の土の表面を乾かしてはいけない!
マルチングして土を保護しなければいけない!
「マルチングは百害あって一利無し」のバラの先生と「マルチングは自然の摂理で当たり前!」のうりゃねこ理論との違いはどこにあるのか?
解りやすく解説しますね!
土は乾くと水を弾く性質を持つという超基本的な物理現象は皆さんご存知のはず!
栽培経験者なら誰しもが知っていること…
それは赤玉土やピートモスは乾いていると水を吸わないという物理的事実です。
水を弾く性質は「撥水性」と言いますが、この言葉は他業界も使いますし土が水を吸わないのは「吸水性が劣る」とも表現できますのでややこしくなります。よって、水を吸わなくなる現象も含めて「水を弾く性質」とします。
一方、赤玉土やピートモスが水に濡れていると水を弾く性質は消え水をグングン吸い、水をしっかり通します。これを「濡れ性」と言います。
土はどちらであるべきか?もう答えは出ましたよね(*^▽^*)
土は乾くと水を弾き、湿り続けることで濡れ性を発揮できます。
では「どうして土は濡れ性を発揮する必要があるのか?」をしっかり理解してもらいますね!
馬鹿にしているわけではありませんが、まずはこれを頭に入れてください!
人間は肺呼吸します。空気を吸って酸素を取り込みますので肺は空気に触れても平気です。
魚類はエラ呼吸します。水に溶けた酸素を摂取します。魚は空気に触れ続けると死んでしまうので水の中にいる必要があります。
植物の根は肺呼吸もエラ呼吸もせず細胞呼吸をします。水を吸う根が空気に触れ続けると根の細胞が壊れてしまいます。
土の団粒構造は、粒の間を水が通ることであって、ここに空気がスースー通ってしまったら植物の根は乾燥して枯れてしまいます。
まして、土が乾いたり湿ったりして植物が育つとか根が伸びるというのは絶対にあり得ません!
土はずっと湿っていないといけないのです。
これ、当たり前ですよね(*^▽^*)
ならば、土は乾かしてはいけないことは当たり前になります。
マルチングをせずに鉢の表面の土が乾いたらどうなりうるのか?を知っておきましょう
自然界では土はむき出しにはなっていません。雑草や枯れ葉に覆われていますので土はずっと濡れ性を持っています。
ですから、それを知っている栽培家は土に濡れ性を持たせ続け、水を弾く性質を土に持たせてしまうことを防ぎます。
農業においても、マルチングで土を保護することは頻繁にされています。雑草対策などの利便性だけではなく土を保護することも大事な栽培技術です。
バラのように水をとても好む植物はさらに水を弾く性質を土に持たせてはいけません。水を失いやすい鉢栽培ならなおさらです。
では、皆さんにわかりやすく
「マルチングで土を保護しないとどういう事が起こりうるのか?」
「鉢の表面の土が水を弾く性質を持ってしまったらどういう事が起こりうるのか?」
を解説しますね。
土全体で水を吸えなくなります
鉢の表面の土が水を弾いてしまうと、水は抵抗のない流れやすいところに集中して水が流れようとします。
鉢植えで一番水が通りやすいところは鉢と土の間です。これで起こりやすくなるのがサークリング現象です。
水は鉢と土の間にばかり通ることになり、この近辺の土と底の土だけが水を吸うようになります。
サークリング現象防止でスリット鉢など使用した場合は土の中に水が通る筋ができます。そして底の土にだけ水がある状態になります。
こうなると鉢全体の土を使うことができなくなり、根張りの悪い状態となります。
土全体で水を吸えた場合、バラの根はこれぐらい長く多くなっているのが正常です。
肥料過多になりやすい
マルチングをしないことで鉢の土が乾きやすくなり、鉢の土の水が奪われやすい真夏は、特に鉢内の肥料濃度が上がりやすくなります。
これにより起こるのが根焼けです。これはわかりやすいので解説は省きますね。
鉢の中の土の温度が下がらずに蒸れてしまう危険性がある
初心者はマルチングをすると鉢の土の温度が上昇したら熱が逃げられなくなり鉢の中が蒸れると妄想してしまいがちですが…
理論的には大間違いです(*^▽^*)
自然や生き物は熱を逃がすときは「気化熱」を利用します。
人間が汗をかくのも、バラが葉っぱの裏の気孔から水を蒸散するのも「気化熱」を利用して自身を冷やしています。
鉢の土の場合、水分が気化熱として蒸発することで鉢内の温度を下げています。
ところが!
鉢の表面の土が水を弾く性質を持ってしまったら、気化しようとしても跳ね返されてしまいます。
結果として鉢内の温度がグングン上昇し蒸れを起こす危険性が出てくるのです。
有用微生物がいなくなる…
有用微生物は好気性微生物とも言われています。好気性とは酸素を必要とするという意味です。
ここで勘違いしないでくださいね!必要な酸素とは「水に含まれた酸素」のことです。
土に含まれた水分が無くなってしまうとそこに居着いた有用微生物は弱いものから次々と壊滅していきます。
砂漠に有用微生物が存在しないように、土が水を失えば微生物すら生きていけないわけです。
枯れ草菌などの耐性が強い微生物ならなんとか持ちこたえたとしても数は一気に減らします。
こうなると有機肥料の効きは悪くなり、ミネラルの摂取も難しくなっていき、化成肥料に頼る栽培でしか上手くいかなくなります。
嫌気性土壌になりやすくなる
バラは好気性の植物ですから鉢の土は好気性土壌でなければいけません。好気性土壌には酸素を含んだ水が不可欠です。
ところが!
鉢の表面の土が水を弾く性質を持ってしまったら、気化しようとしても水は跳ね返されてしまいますが酸素は粒子がとても小さいので抜け出てしまいます。
そうなると酸素が抜けた水だけが鉢の中に溜まってしまい、酸素を失った有用微生物(好気性微生物)は死滅し酸素を嫌う嫌気性微生物が大増殖します。
バラは好気性の植物なので嫌気性微生物は害となり、嫌気性微生物によって根を腐らせてしまいます。
これを根腐れと言います。
株元からシュートが出にくくなり、癌腫感染苗はコブを作りやすくなる
鉢の表面の土が水を弾く性質を持ってしまったら、鉢の表面は極度の乾燥状態になり夏場は特に熱くなります。
極度の乾燥状態と熱に晒されるバラの株元は樹皮の水分を強く奪われるので自身を守るために株元の細胞にリグニンをたくさん溜めて木質化しようとします。
木質化された細胞は細胞分裂しにくくなり、結果として株元からシュートが出なくなります。
また、リグニンをたくさん溜めて木質化した株元はしなやかさが失われ、風などで折れたり割れたりしやすくそこに癌化細胞がある癌腫感染苗であればコブを作りやすくなります。
(癌腫病とマルチングの関係は別で詳しく解説します)
「鉢の表面の土が乾いたら」で得られるメリットは?
皆さんには何のメリットもありませんがナーセリーにはメリットもあります。
それは商品として均一化しやすく、十把一絡げの管理ができることですね。詳しい解説は控えますが(*^▽^*)
ゆうきの園芸ショップでは4~5号ポット程度でコンパクトに保存しておきたい品種などではたまにそういう管理をやってます。
もちろん、大きくすることも花を咲かせることも考えていない場合です。
マルチングで鉢の表面の土が乾くのを阻止すれば?(濡れ性を利用)
土が濡れ性を持っていることは当たり前で、土が水を弾く性質を持てば植物栽培ではデメリットがとても多くなります。
プロや上級者の栽培家はそれをしっかり意識して土作りをし、栽培していきます
この「土が濡れ性を持ち続け、土が水を弾く性質を持つのを避ける」ために最も効果的なのがマルチングです。
もちろん、このマルチング材にはバラの鉢栽培に適したモノを使用することは大事です。
農業のようにビニールマルチは使えませんし、栄養濃度を持つバーク堆肥や腐葉土も使えません。通気性や通水性に富み、バラ栽培に多くのメリットを与えてくれるマルチング材を使用します。
では、最適なマルチング材を使うことでバラの鉢植えはどうなっていくのか?を解説します。
土全体で水を吸えるようになります
マルチングをすると鉢の表面の土が水を弾く性質を防ぎ、土は濡れ性を持ち続けるので水をしっかり通し吸収してくれるようになります。
よって、鉢に頼らなくてもサークリング現象を起こしにくく鉢全体の土を使えるようになります。
鉢の土の熱を逃がすことができます
土が濡れ性を持っていると気化熱を利用できます。この気化熱で鉢の中の温度を下げていきます。
初心者の方はマルチングで蓋をしてしまうので熱が逃げないというイメージに陥りやすいですが、これからは「気化熱」を覚えてくださいね!
確かにビニールでマルチングすれば熱が逃げないですけどね(*^▽^*)
夏場は特に熱によるダメージを避けなければいけませんので、マルチングは必須となります。
有用微生物を大事にした土作りができます
有用微生物は好気性微生物なので水が必要です。乾燥すればどんどん死滅していきます。
ですから、有用微生物を利用した土作りではマルチングは必須となります。
特に鉢栽培は有用微生物を失いやすいので「マルチングをやらないなら土(微生物)を語るな!」ぐらいに考えてください。
ちなみに、マルチングせずに土がむき出しなら夏場は有用微生物がほぼ死滅しているケースは多いです。
■水を失う
■熱がこもる
■酸素を失う
■肥料過多となる
有用微生物にとってとても苛酷な状況となります。
根腐れや根焼けを避ける
しっかり水遣りをすること、肥料は施肥コントールをすることはもちろん大事ですが…
マルチングするだけでも根腐れや根焼けの対策となります。
株元からシュートが出やすくなる
マルチングをすることで株元からシュートが出やすくなることを意外と知られていません。
と言うか、マルチングをしないと株元からシュートが出にくくなることを知られていないと言うべきかな?
土の表面が日差しにより熱くなり乾燥すれば、それは株元の樹皮に大きく影響します。
また、株元に直接日差しが当たることでも株元の樹皮に大きく影響します。
こうなると細胞はリグニンを溜め老化し木質化することで細胞分裂しにくくなります。
マルチングすれば細胞はマルチングに守られ、水をタップリ含んだ若々しい細胞のままでいられます。水をタップリ含んだ若々しい細胞は細胞分裂しやすく、結果としてそれがシュートを出すということになります。
癌腫病感染苗がコブを作りにくくなる
これについては間違いなく悪用されるので別で詳しく解説します。(準備中)
マルチングのデメリットは?
マルチングのデメリットは手間がかかることです。
これは実は販売側の私たちも同じ!単価が安いのに出荷は結構手間が…(*^▽^*)
まあ、それは冗談として…1度敷いたあとも、また継ぎ足したり、敷き直したりのメンテナンスの手間はかかります。
それと、土が乾いていないのに水遣りを必要としますので水遣りのスキルUpが必要になります。
土の乾きの目安は鉢の重さなどありますが、慣れるとバラの状態や生育具合で判断できるようになります。
また、不快害虫が好む環境となりやすいので、不快害虫が出やすくなる場合もあります。
でも、それに見合う以上の効果がありますのでこまめに頑張ってください!
マルチングは自然の摂理では至極当たり前なのです!
マルチングすることは自然の摂理では当然のことで、マルチングしないことは自然の摂理に反しているということになります。
自然の摂理に反しているからバラの鉢栽培は難しいとなるのです。
「鉢の表面の土が乾いたら」という自然では起こらないことを意味不明な常識としてしまい、結果として「バラは育てるのが難しい」としてしまっています。
土は濡れ性を持っていないといけない!
是非とも皆さんの教訓としておいてくださいね。それだけでもバラ栽培はグンとカンタンになります。
マルチング資材はこちら!
当店ではマルチング資材は3種類扱っています。
一番湿潤効果が高いのはクリプトマルチです。
ポットシートはコガネムシ対策、ココヤシファイバーは日陰気味など土が乾きにくい方にオススメです。
ポットシートと他2つの資材を併用してもOK!
それぞれ特徴がありますので、上手に使い分けてくださいね。
マルチング資材特徴比較表
→クリプトマルチ | →ポットシート | →ココヤシファイバー | |
---|---|---|---|
価格 | 75~116円 | 165円 | 110円 |
抗菌性 | ◎ | × | × |
防虫力 | △ | ◎ | △ |
排水性 | ○ | ○ | ◎ |
通水性 | ◎ | ◎ | ◎ |
保水性 | ◎ | ○ | × |
熱を逃がす力 | ○ | △ | ◎ |
耐久性 | △ | ◎ | ○ |
見た目 | ◎ | △ | ◎ |
鉢底の土止めとして | ◎ | × | ◎ |
他鉢サイズへの柔軟性 | ◎ | △ | ◎ |
メンテナンス頻度 | 年1~2 (かさ増し、取り替え等) |
年0~1 (シート上のゴミを払う) |
年1~2 (かさ増し、取り替え等) |