「バラの様子がおかしいので堀り上げてみたら根が無かった!」
皆さん、経験していますよね。
元気だったバラが急におかしくなったら根を疑うのは正解です。
そして、掘り上げてみると案の定、根が無かった…
こういう場合の対処方法を考えてみましょう。
根が無くなる理由
根が無くなってしまう原因はいろいろあります。
判断を誤ると、全く違う対処をしてしまいますので注意していきましょう。
判断できない場合は、何でも相談室に写真添付で送っていただければ私が代わりに判断いたします。
マメコガネ幼虫の食害
土の中からマメコガネの幼虫が出てきたら、まずこれが根を食べています。
幼虫を取りだし、再度植え替えましょう。
ただ、同じような幼虫でハナムグリの幼虫がいます。これは背面歩行するのですぐに見分けが付きます。
これは大事な花粉媒介者なので殺してしまわないようにしましょう。
根腐れ
土の中の水が腐り、その水に沸いた嫌気性微生物が根を腐らし分解してしまいます。
この原因は「水はけの悪い土もしくは鉢」に原因があります。
根腐れが起こるような悪い土、水はけの悪い鉢は使わないようにしましょう。
根枯れ
某かの原因で根が枯れてしまいます。
水涸れ、土の保水率が低く熱による枯れ、肥料成分が濃い、窒息状態などで起こります。
根が枯れると、土の中の有用微生物が枯れた根を分解してしまいます。
この根枯れと根腐れの判断を誤って、水涸れが原因の根枯れであるのに根腐れしないようにと水を控えてしまい、結果として株が完全に枯れたというケースが多くあります。
根焼け
土に肥料を混ぜるような土作りをしている場合に起こります。
これにプラスして水涸れを起こせば、土の中の肥料濃度は怖ろしいほど高まって根を焼いたような症状にしてしまいます。
肥料は土に混ぜない、水はしっかり与えることで対処できます。
元々、根は伸びていなかった
化成肥料を使って育てている場合によく起こります。
根は伸びていなくても安易に摂取できる化成肥料を使うことで、地上部は見た目順調に育っているように見えます。
ところが、ある程度成長すると地上部をとても支えられなくなり、これがダメージとして急に現れてきます。
地上部を切り詰め、根を育てていけば回復します。
根が無くなるとバラはどうする?
根が無くなった場合、バラはどうするのかを考えていきましょう。
バラは最悪にならないように対処していきます。
・葉っぱの蒸散を止めるために気孔を閉じる
・蒸散の元となる葉っぱを捨てる
・葉っぱが付いている枝を捨てる
こういう順番でバラは対処していきます。
これは、前述した「バラはローテーションで成長する」ということです。
不要なものを捨て、新しく細胞分裂して作っていくバラは、自身を守るために自身の身体を捨てていきます。
捨ててもまた作れるから大丈夫ということですね!
根が無くなったときの対処方法
根を復活させるためには、絶対に間違ったことをしてはいけません。
根が復活し、株が元気を取り戻せる確率は高いので、間違いない対処をしていきましょう。
まずはバラの負担を取り除く
・葉っぱの蒸散を止めるために気孔を閉じる
・蒸散の元となる葉っぱを捨てる
・葉っぱが付いている枝を捨てる
バラの自衛本能を早いうちに止めておきます。
進めば進むほど重症化しますので、できるだけ早く対処しましょう。
根が無いのですから、地上部と根はまったく釣り合った状態ではありません。
少しでも負担を減らすため、地上部は大きく切り詰めます。
バラに意思を持たせる
根を伸ばすのはペプチドというアミノ酸で形成されたホルモンだと言われています。
このホルモンをバラが作り出せるようにするにはどうするか?
根が無くなった現状は、バラは根を伸ばすことよりも自身を守ることを最優先しています。
しかし、地上部の負担を和らげたことで、バラは成長しようという意思を持ってくれます。
その意思を持ってもらうためには、まずはじっくり養生します。
水はタップリ与え、肥料は与えずに、まずはバラの意思が芽生えるのを待ちます。
軽い窒素肥料を与えます
バラは成長力が強く、環境に適応しようとする植物です。
自身を守ることをしなくなったら、次はすぐに自身を成長させようとします。
でも、ここではまず根を伸ばして欲しい!
軽い窒素肥料だけ与えて、まずはバラが根に目を向けてくれるようにします。
濃い肥料を与えたり、リン酸などを効かせるとバラはどこを大きくしようとするかわかりません。
また、根が無い状態で濃い肥料だと、またもやバラは自衛本能に目覚めてしまうかもしれません。
落ち着いたら濃い窒素肥料!
バラが根を伸ばそうとしてくれたら、ここは一気に伸ばしてもらいましょう!
地上部とイコールになるまでバラは根を伸ばしてくれます。
根を伸ばせば地上部も動いてきます。
これで当分は右肩上がりになってくれます。
株に見合った状態になれれば、生長サイクルの合わせる通常の栽培に切り替えましょう。
まるでストーリー
上記は人間が勝手に作ったストーリー!
もちろん、こうなるかどうかはわかりません。
何もしなくても、バラが勝手に根を伸ばして復活することも多々あります。
何もしないと枯れてしまうこともあります。
でも、こういう風に考えていけば、バラをとても理解しやすくなります。
そして、バラをしっかりケアできるようになります。
バラをしっかり観察しながら、皆さんなりのストーリーを作っていきましょう!