バラ苗作りでは、台木と穂木を知っておく必要があります。
それほど難しいことではありませんが、けっこう勘違いが多いこともあります。
しっかりした認識を持っておきましょう。
台木について
台木は日本ではトゲナシノイバラを使用します。
台木の作り方
トゲナシノイバラの成木から、実を採取します。
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冬に実から取り出した種を畑に蒔いて芽吹かせます。
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春に幼苗を抜き、畝を立てた畑に定植します
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秋に植わった状態で芽接ぎをします
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冬に掘り上げて切り接ぎの台木にします
台木が癌腫病や疫病に感染している!
台木が感染してれば、元も子もありません。
台木が感染していれば、即廃棄してください。
台木の理想的な大きさは?
大きく育った台木を入手して喜ぶ方が多いですが、私は1.5cm以上の太さの台木は使いません。
太い台木には太い穂木が必要になりますし、初期生育は良くても寿命が尽きるのも早くなる傾向にあります。
台木で大事なのは伸びしろです。後で嫌でも太くなっていきます。
そして、接ぐ品種と接ぐ穂木に合わせることも大事です。
枝が細くなるタイプに太い台木で接いでも無理が生じます。逆に、枝が太くなるタイプに細い台木で接いだ場合は台木は後で太りますから大丈夫です。
穂木の太さに対しては2割増しの太さが理想です。
まれに、太い台木に細い穂木が接いである苗を見ますが、行く末は可哀想です。
台木の理想の太さは、0.7~1.2cmだと私は考えています。
以降の生育もとても良いですね。
アンジェラクラスの場合は2cmあっても大丈夫です。
ボソボソの台木は弱い!
細くともしっかり締まっている台木が理想です。
太くてナイフを入れるとボソボソしている台木はとても弱くて良い苗になりません。
これ、肥料過多で起こります。
穂木について
「苗作りは穂木が命!」
良い穂木であれば、まず失敗はしませんし、良い苗になります。
では、良い穂木とは?
「若すぎず老いすぎずのシュート」
これは、木立性バラならば秋に花を咲かせたシュートのことです。
つる性バラであれば、今年伸びた枝になります。
ただ、その見分けが付かないことも多いので、芽をしっかり確認してください。
芽がぷっくりしていると、それは良い穂木です。
後は穂木の太さを考えて、良いところを使っていきましょう。
芽が全く見えない場合は若すぎ、黒や茶に変色しているのは老いています。
できるだけ使わないようにしましょう。
ただ、良い穂木が取れるかどうかは…実際に作りたい品種からは良い穂木が取れないことは多々あります。
ですが、ご安心ください。
成功率は低くなるかもしれませんが、それでも使えます。
失敗が増える可能性はありますので、予定数よりも多めに接いでおきましょう。
「業」でなければ、種苗登録品種でも切り接ぎして増やしてOKです!
種苗登録品種は、育種家や種苗会社がパンフレットやカタログで種苗登録品種であることを明記しています。
この種苗登録品種は個人使用で増殖することはOKです。
ただし、増殖して販売、譲渡はしないようにしてください。
それ以外のバラの品種はいくらでも増殖して販売してかまいませんが…
皆さんは個人の楽しみで切り接ぎするのですから、種苗登録品種であろうがなんであろうが「個人の自由」です。
何かに束縛されることはありませんので、どうぞ安心して切り接ぎをお楽しみください。
台木と穂木の関係について
プロは接ぎ木するために親木を育てています。
よって、しっかりとした穂木を採取できますので、台木も太めが使えます。
ですが、皆さんの場合は花を楽しんでいる株から穂木を採取します。
枝が細い品種などは、取れる穂木はかなり細くなります。
そういう場合は、細めの台木を選んだ方が断然有利になります。
ですが、やはり「太い=良さそう」というイメージが頭から離れません。
よって、台木と穂木のバランスがとても悪くなってしまいがちです。
もしくは、台木に太さを合わせようとして、良くない穂木を無理して接ごうとします。
結果、失敗が多くなってしまいます。
0.4cmほどの台木に接いでも立派に成長する!
苗にとって大事なのは、苗の大きさや太さではありません。
苗にとって一番大事なのは、伸びしろです!
バランス良く、スムーズに成長できる苗を考えていってください。