有機土壌作りや施肥は大事ですが、栽培でとても大事なカテゴリーの一つ「水遣り」を解説します。
「たかが水やりされど水やり」や「水遣り3年」など言われていますが、水遣りという作業自体はそれほど難しいモノではありません。
ですが「土壌の保水率管理」は根気が要ることなのでしっかり覚えましょう!
プロでも知らない人が多いので…
「水は命の源」は生き物の細胞にあります
私たち生き物は水が無いと生きていけません。それはどうしてでしょうか?
その答えは「細胞」にあります。
私たち人間の細胞にも植物の細胞にも、細胞内は水が満々に入っています。
この細胞の水が全て無くなると人間はミイラになり、植物は枯れます。

人間は細胞を大きくすることで身体を大きくできます。
ですから、細胞壁は持っておらず細胞が大きくなったり小さくなったりすることができます。
細胞の数が同じなのに体重100kgの人もいれば体重50kgの人もいるのはそういうことです。
植物は細胞を増やすことで身体が大きくなります。
ですから、細胞壁を持っていてその細胞に水をパンパンに張ることで立っていることができます。
植物は細胞内の水をパンパンに張っていないといけない生き物です!

- 細胞内の水がパンパンに張っていないと植物は萎びれます。
- 細胞内の水がパンパンに張っていないと植物は命の危険を感じて細胞分裂しなくなります(成長を止めます)
- 細胞内の水がパンパンに張っていないと植物は細胞壁にリグニンを貯めて木質化します(細胞分裂しない細胞に…)
トマトの収穫前に水を控えることで美味しいトマトになる話から、水遣りを控えるという暴挙が色々な作物で言われていますが、植物は細胞内の水をパンパンに張っていないといけない生き物です。
有機栽培をやる皆さんは、水は命の源の本当の意味を理解してください。
好気性の植物なので酸素を含んだ水を!
私たちが育てる植物の大半は「好気性」です。好気性とは、酸素を含んだ水を必要とするということです。
その好気性の植物は水耕栽培でも育ちます。水に酸素があれば水耕栽培も可能なんですね。植物よりも高等な魚は水に含まれた酸素をエラから取り込んで呼吸しますし、植物も同じように水と一緒に酸素を根から取り込みます。
一方、水に酸素が無いと好気性の細胞は生きていけません。ちなみに、自然では酸素をたくさん含んだ水は雨です。
酸素を含んでいない水は地下水です。
溜めた雨水や井戸水を使う場合は酸素を巻き込めるハス口などを使うのが一般的です。
根腐れが起こるメカニズムを知っておきましょう
土壌が嫌気性(酸素が無い水)になると土壌には嫌気性微生物が繁殖します。
好気性の植物の根は好気性微生物とは共生できますが、嫌気性微生物には分解されてしまいます。
これが根腐れの原因です。
一方、いくら水があっても好気性であれば水耕栽培も可能な事から根腐れは起こりません。
水害で作物が浸かった場合、根腐れ対策として嫌気性の水を抜いて新しく好気性の水を与えて作物を復活させたりもします。
光合成にはたくさんの水が必要
植物は想像以上にたくさんの水を使います。
■細胞内の水がパンパンに張らせる
■体内の熱を逃がすために葉っぱの気孔から蒸散させる
■光合成で使う

最優先するのは細胞内の水です。
これが減ると細胞が壊れる、つまり「死」となります。
次には葉っぱの気孔から蒸散させる事を優先します。
一番優先順位の低いのは光合成です。
つまり、光合成をするためにはしっかりと水を吸えていないといけません。
水が不足すると一気に光合成量が不足し糖の生成ができなくなります。
水遣りを控えるなどのデマを信じて、
花や実の品質を下げてしまうことがありますのでご注意ください。
水が少ないと肥料濃度が上がって根焼けの原因に!
土壌の保水率が低下すると、それと反比例するように肥料濃度は高くなっていきます。
そして、その濃度が高くなればなるほど根焼け症状を起こします。

太い根が根焼けすると末期症状ですが、根としてもっとも機能している細くて白い根は髪の毛よりも細く肥料濃度が少し上がっただけで根焼けしてしまうことが多々あります。
これを「肥料が足りない」と勘違いしてさらに肥料を足してさらに根焼けさせてしまう…
よくあることです。
生育が思わしくないときに「肥料を抜いてみて!」とアドバイスすると急に生育が良くなる。栽培現場あるあるです!
植物は水を摂取しすぎない!
これ、いろいろな自称栽培のプロの笑い話が絶えないのですが…(*^▽^*)
植物は必要以上に水を摂取しないことを皆さんはしっかり頭に入れておいてください。
動物は水を飲んで摂取します。自分の胃に流し込むので飲み過ぎて大量の水を摂取してしまう場合があります。
ですが、その飲みすぎた水は身体が排出しようとしますよね。よくできています。

植物はそういう機能は持っていません。
植物の水分摂取は根の浸透圧と葉っぱからの蒸散量で決まります。
水を充分に摂取したり、体内の水分が十分にあると、根の浸透圧も蒸散による水を吸い上げる力も無くなります。
ですから、物理的に余分な水分は摂取しないんです。
植物に飲みすぎは無いのです!
水遣りで知っておくべき知識を並べてみました。有機栽培をやるならしっかり理解しておきましょう!






