「植物ホルモン」なんて話を出したら、有機栽培や自然栽培から遠ざかり慣行栽培技術のように感じますが…
ホルモンってイメージは悪いですが、実は生き物を動かすとても大事な物質です。
たとえば、人間で有名なのは男性ホルモン(テストステロン)や女性ホルモン(エストロゲン)などですよね。
これにより、髭が生えたり声が変わったり、女性らしい体形になったりします。

植物ではエチレンが有名ですね。バナナを熟成させるエチレンですが、同時に熟成させすぎてバナナを傷めたりします。
オーキシンやジベレリンを使って種なしの果物を作ることもできます。ホルモンって、生き物を動かし姿形まで変えてしまう物質なんです!
ですから、このホルモンを操作することはないですが意識することで植物がとても理解できるようになります。
- オーキシン
芽を吹かせ伸びる
- サイトカイニン
脇芽の芽吹き制御を解く
- ストリゴラクトン
頂芽優勢を強め、根から栄養をたくさん集める
- プラシノステロイド
枝を伸長させる
- フロリゲン
花を咲かせる
- アブシジン酸
水不足時に気孔を閉じる
- ジャスモン酸
病害虫に抵抗し毒性を出す
- サリチル酸
病原菌に抗菌力を発揮し、他に抵抗力を持たせようとする
植物は環境や条件に合わせてホルモンを生成し自身を動かします。いわば本能ですね。
少し違う解説をしてみます。
- オーキシン
強いと縦に伸びやすく、弱いと伸びない
- サイトカイニン
強いと横張りしやすく、弱いと横張りしない
- ストリゴラクトン
強いと花や実が大きく、弱いと花や実が小さい
- プラシノステロイド
強いと枝が伸びやすく、弱いと枝が伸びにくい
- フロリゲン
強いと花付きが多く、弱いと花付きが少ない
- アブシジン酸
強いと沈黙しやすく、弱いとタフに見える
- ジャスモン酸
強いと病害虫に狙われにくく、弱いと餌食になる
- サリチル酸
強いと病気になりにくく、弱いと病気になりやすい
このようなホルモンバランスで植物は育ち方が変わります。
そして、このホルモンバランスに大きく関わってくるのが栽培環境、栽培条件、気候(気温や湿度)、水の摂取状態、栄養状態になります。
しっかり有機栽培できていればホルモンバランスは理想的に保てます。そして果菜類や果樹の有機栽培ではオーキシン・サイトカイニン・フロリゲンの意識を持つと品質向上に役立ちます。
まずはオーキシン・サイトカイニンの意識を持ってみましょう!
オーキシンとサイトカイニン、どちらが優勢か?
「オーキシン優勢」とか「サイトカイニン優勢」とか、学術的にはおかしな事かもしれませんが品質上位を狙う栽培現場ではけっこう使っています。
実際のオーキシンやサイトカイニンは様々な性質や機能がありますが、栽培現場で大事なのは「縦に行くか横に行くか」なんです。
■枝分かれが多くなれば花は多く付きます。果物なら収量も上がります。
■ひとつひとつの品質を上げるなら枝分かれよりも一極集中させた方が有利です。
つまり、栽培現場では品質と収量の駆け引きがおこなわれます。
花芽が多いと収量は上がりますが、栄養が分散されるので品質は落ちます(サイトカイニン優勢)
花芽が少ないと収量は下がりますが、栄養が集中するので品質が上がります(オーキシン優勢)

施肥では、肥料が多いとオーキシン優勢になりやすく、肥料が少ないとサイトカイニン優勢になります。
縦に伸ばすか横に分岐するか
縦に伸ばす、集中して作り出す
横に出す、分散させる
果菜類や果樹栽培において、これをしっかり意識すれば株立ちが良くなります。
「まずはサイトカイニン優勢で横張りさせて、次にオーキシン優勢にして伸ばしていく」
根の場合も、まずはサイトカイニン優勢で根量を多くし、次にオーキシン優勢で根を伸ばせば驚くほど根張りが良くなりますよね!
これはすべての植物でできます。
目指すは高品質の作物をたくさん収穫すること
栽培現場では品質と収量の駆け引きがおこなわれます。
品質を良くしようとすれば収量を犠牲にし、収量を上げようとすれば品質が落ちます。
ですが…
理想は、品質が最高で収量も多くなることですよね!
新しい栽培技術はこれを目指しています。
では、このためにどうするのか?
生長過程で、サイトカイニン優勢とオーキシン優勢を最適に切り替えることができたらどうだろうか?
そう!これが施肥コントロールです!
有機栽培って科学的で最先端でもあるんですね!
有機栽培は有機栽培であることが大事なのではなく、有機栽培技術で未来を切り開いていく事が大事なのです!






