感染予防対策、害虫駆除に最低限必要とされる知識…それが常在なのか非常在なのかという区別です。
これをわかりやすくコロナウィルスで解説します。
コロナウィルスは最初は非常在、つまり日本に存在していないウィルスでした。
このウィルスは人々を死に至らしめるウィルスとして非常在とするために懸命の除菌作業、感染防止、ワクチン開発などが進められました。
ところが…
コロナウィルスは日本でも常在となってしまいました。
でも、コロナウィルスは毒性が下がり「常在でも良いよね!」という対策に切り替わりました。
感染予防対策、害虫対策では、人間も家畜も植物も同じように考えます。
存在させて良いのか、それとも徹底的に駆除するのか
まずはこの判断が必要になります。
人間だとエボラ熱やジカ熱などは非常在にすべき病原体です。コロナウィルスはウィズコロナということで常在にする対策に切り替わります。
家畜だと鳥インフルエンザは皆殺し&土に埋めます。豚熱も同じです。徹底して非常在にします。
では、植物栽培は?
慣行栽培では病原菌も害虫も皆殺し、つまりは農薬を使って非常在にしようと懸命になります。
ところが…
植物の病原菌や害虫は常在なんです。だから、いくら非常在にしようとしても常在なので次々と出現します。
農薬の効果が残らないと病気や害虫被害に遭うことになりますので、これが農薬漬けと言われることになってしまいます。
しかも、農薬というのは殺虫剤や殺菌剤なので特定の病原菌や害虫にだけ作用するわけではありません。カメムシを殺そうとすればミツバチが死に、カビ菌(糸状菌)を殺そうとすれば放線菌が死にます。
慣行栽培は自然の摂理が無い栽培というのは、常在や非常在関係なく菌や虫の存在そのものを否定する栽培だからです。
一方、有機栽培は自然の摂理を利用する栽培です。
菌や虫の存在があってこその栽培ですので、農薬の殺虫剤や殺菌剤が使えなくなるのは理解できると思います。
また、害虫が居るから益虫が居る、これで生態系が出来上がるという考えになっています。ですから害虫の存在も大事なのです。
ただ、その害虫は常在として存在させるのか、非常在として駆除するのかの判断が必要です。
ハダニが存在するからチリダニやカブリダニという益虫が存在しますが、カミキリムシは天敵がいないので非常在扱いになります。
有機栽培は常在の病原菌や害虫をいかに利用するかを考える!
有機栽培は害虫を食す益虫や糸状菌を食す放線菌をいかに利用するかと考えがちですが…
これは机上ではそう考えられても現場ではまず通用しません。益虫は環境によって出現するかどうかわかりませんのでアテにしずらいのです。
アテにしずらいのにそれに頼り切る考え方は、まったく科学的見地はありませんよね。
有機栽培は、非常在は非常在とし、常在は自然の摂理として利用する栽培技術です。
今は「常在」と「非常在」という言葉を覚えてくださいね!