挿し木作業を写真で解説していきます。

適期

湿度の高い、6〜7月頃がオススメです。
時期的に、花が終わって出てきた新しい枝で、フニャッとしないくらいに水けが少しなくなり固くなった若い枝が使えます。

「休眠ざし」といって、バラの休眠時期に挿すやり方もありますが、成功不成功がすぐにわかりやすい上記時期がオススメです。

用土など

用土は硬質赤玉土の細粒がオススメです。
堆肥などは必要ありません。
小粒をふるって、細かいものを集めても使えます。

器は、生産ではスリットポットトレーを使用しています。
普通の新苗が植わっていたようなポットなどに何本か挿したりしても構いません。

穂木

挿し木は、とにかくその品種の強さによって成功率が異なります。
状態の良い穂木でも、元々の品種の強さがなければ成功率はとても低くなります。
自生力が弱く、多くのエネルギーを必要とするHTなどは、特に成功しにくくなります。
HTを増やしたい場合は、接ぎ木がおすすめです。

取った穂木は写真のように加工します。

葉はつけておくべきですが、大きすぎる葉は蒸散力が強すぎるので、半分にするなどします。

穂木を切るのは水の中でやると、切り口が乾かずオススメです。
挿し口はよく切れるハサミでスパッと切りましょう。

50ppmのピキャットクリアを用意し、できた穂木はピキャットクリアに浸けておきます。

植え付け

トレーに細粒をしっかり入れ、あらかじめたっぷりと水を撒いておきます。

挿すところに、棒で2〜3cm程度の深さの穴を空けておきます。

しっかりと断面が土に着くように挿します。

水やり

穴と挿し穂に隙間が無いよう、たっぷりと水をかけます。

管理

風の当たらない半日陰がオススメです。
遮光ネットなどで覆ってあげると楽です。

とにかく乾燥をさせると、成功率は一気に下がります。
毎日水やりをしてあげましょう。

成功と失敗。その後の管理。

順調だと、早いものだと1週間くらいで芽が動いてきます。

失敗したものは、1週間経ったら真っ黒です。

ただ、成功しているように見えるものも、まだこの時点ではほぼ根はないので、毎日のように水やりは必要です。

動きの早さは品種によっても大きく異なります。
動いていないようでも、黒くならなければバラは生きていますので、お世話してください。

着いているか、着いていないか気になって抜いてみる人がいますが、それは絶対にやってはいけません。

葉が展開してきたら、風通しを少しずつ確保し、リバイバルや液肥で3ヶ月くらい育てます。

植え替え

写真は11月初めの頃の苗です。

しっかりと根が張ったら、ポット上げします。

ただ、冬場に土が凍ってしまうような地域では、ポット上げせず小さいままで冬越しし、春先にポット上げを行うほうが失敗が少なくオススメです。

苗の出来上がり

6月下旬の様子。

挿し木苗は、最初の成長は接木苗より遅いですが、3年も経てば遜色がなくなります。

またオウンルートで枝を出すので、根元でカミキリムシに入られても枯死してしまう確立が低いのも魅力です。

樹勢の強いものでは、地植えにするとあちこちから枝を出すようになったりするので、あまり大きく広げたく無い場合は鉢植えがオススメです。