現在、当店で研究開発中の培養土…
赤玉土は日本の限られた資源で、海外の盆栽ブームもありこの限りある資源が失われる可能性があります。
赤土を採取することでも自然破壊となり、園芸用土となった後は産業廃棄物扱いとなり処分にも困ります。
しかし、有機栽培を行うのであれば赤玉土がとても有利になります。
自然や生き物を大事にしながらおこなう有機栽培で赤玉土が使われること、ここはやはり矛盾してしまう点です。
ですから、私たちはいずれは赤玉土を手放さなければいけません。
手放すということは、もちろん赤玉土に代わる、赤玉土を超える培養土の存在が不可欠です。
この培養土研究を現在は続けています。
ただし、私たちには絶対に譲れないことがあります。それは…
有機で表現できるのかどうか?
有機で表現するという意味がわかる方もわからない方もおられると思います。
わかりやすく言うと、対象植物が最高のパフォーマンスができるように有機栽培を組み立てていくということです。
有機栽培を組み立てていくというのは、有機JASとは考え方がまったく異なるのでイメージされにくいとは思います。
当店の有機栽培は、農薬成分を使わず自然のサイクルが主であり人体や環境に影響しないものは使ってかまわないという考え方です。
簡単に言えば、必要であれば化学肥料もサプリメント的に使うということです。
大事なのは有機で栽培を表現すること!
今回は培養土の主となる候補のヤシガラピートでのテストを紹介します。
が…まだまだ企業秘密なので(*^▽^*)すみません…
ヤシガラピートはすでに農業やガーデニングで多用されていますが、薔薇のような落葉低木で有機を表現するのはまだどこにもありません。
というより、ヤシガラピートでの有機の表現は常識としては外れているような…
分解対象であるヤシガラピートを培養土の主とし、それを短期栽培ではないバラで1~3年は有機で栽培を続けることになります。
「草花ならともかく、バラでできるわけない!」
その常識をひっくり返すためのテストをやっています。
現在は真冬でバラはピクリともしませんので、今回は花苗で解説しますね!
下の写真はキンセンカ(カレンデュラ)の花苗を育ててみたものです。
左がヤシガラピートで真ん中が赤玉土です。右の写真は左がヤシガラピートで右が赤玉土です。
9月の終わりにビニールポットに種まきした苗を12月の始めに4号ロングスリット鉢に植え替え、現在で2ヶ月ちょっとです。
左の培養土…ヤシガラピートにMIX堆肥を入れた
中の培養土…赤玉土にMIX堆肥を入れた
肥料は月1回、つまりは2回ほど有機液肥の恵海を与えました。
生育の差は目に見えて出てますよね。ヤシガラピートのほうが根も地上部も生育がとても早くなっています。
これは単純に保肥力、保水力の差ですね。
土の成分、葉っぱの成分を比べてみても、ヤシガラピートの方が上です。
有機で分析しても、ヤシガラピートのほうが圧倒していました。
ということは、ヤシガラピートで有機栽培いけてるじゃないか!
ということではなく(*^▽^*)
真冬の茨城のハウス栽培(開けっ放しで無加温)で、キンセンカの現状の花苗までなら有機栽培でやるならヤシガラピート主体の培養土がバッチリ!という結果だったということですね。
慣行栽培との比較はしていないし、化成の液肥ならもっと良い結果が出たかもしれません。
土に限っては、早く大きくしたいということであれば、保肥力・保水力が強いヤシガラピートは有機ではなくても圧倒します。
特に真冬ですから赤玉土は圧倒的不利で、そう考えれば赤玉土の健闘ぶりはさすがだとも言えます。
ここから先はどうなるか?
皆さんも考えてみましょう!実際の答えはまだまだ出ていませんので正解はありません。
ここから、一緒に研究開発してみましょう!
施肥コントロールできるのか?
皆さんは有機栽培をしていると保肥力が弱い赤玉土主体の培養土でも、あれだけ肥料を減らしてまだ多いことに気付きましたよね。
それが保肥力が強いヤシガラピート主体の培養土になればどうなるのか?
ヤシガラピートのほうが減肥出来て良かったよねえ!ぐらいで済めば良いですけどね。
これから気温が上がると共に分解力は一気に上がってきます。
さて、施肥コントロールは成り立つんだろうか?
1年持つのか?
有機のチカラが強いということは、言い換えれば劣化が早いと言うことにもなります。
赤玉土は劣化しにくいですが、さてヤシガラピートは?
最低でも1年は持たないとバラには使えませんよね。
嫌気性とならないか?暑さと感想で水を弾いてしまわないか?
ポットでの栽培にとって絶対に起こってはいけないのが、嫌気性土壌になることです。
嫌気性土壌というのは酸素の無い土壌、つまりは酸素を含んだ水が存在しない土壌になってしまうことです。
また、ヤシガラピートは劣化によって水が吸えなくなったり水を弾いてしまうことも起こりえます。
分解力が上がると分解されないか?
有機栽培は土壌の微生物を利用します。この微生物は有機物を分解し栄養に変えていきます。
さて、ヤシガラピートは分解対象となってしまうのか、それとも?
ただね、これは実際に笑い話であったんですが…
市販されているピートモス培養土で、栽培しているとピートモスが減ってきたので分解されているんだ!と思った人が多くて…
あれは大半はぺちゃんこになってただけです(*^▽^*)
でも、堆肥を混ぜ、リバイバルで有機土壌化し、肥料を与え、その中でヤシガラピートが分解対象になる可能性はものすごく高いですよね。
気温が上がり出す春にはもう耐えられなくなる可能性もあります。それが真夏だと?
などなど、皆さんもやってみよう!
まだまだ、考えるべき事はいっぱいあります(いっぱいの企業秘密が…)
有機栽培を考えるときは、まずは有機で表現し、それを組み立てていきます。
まだまだ始まったばかり!
「ウソばっかり!もう良いところまで行ってるからこういう話をしているんでしょ?」
ここで皆さんは名探偵コナンになって考えてみてください!
「こりゃダメだ」と思っていたら、私は話題にも出さないですよね(*^▽^*)
草花はカンタンですが、もしかしたらバラでも有機で組み立てるところまで来てる!かもねえ(*^▽^*)
でもね、商品化するというのはここからが大変なんです!ましてヤシガラピートが主体となる有機栽培でのバラ用培養土なので誰も通っていない道になります。
例のごとく、皆さんにもやってもらって、そこで起こるリスクを収集したいというスケベ心でこのブログを書いているかもしれません。
そこは皆さんの推理にお任せします。
ここから先はガーデナーの方々にはてんちょーがゆうきバラ会で話をするんじゃないかな?知らんけど(*^▽^*)
施設園芸(野菜作り)のほうが栽培期間が短いので早く有機で確立できそうなモノですが…
「バラでできれば全ての栽培でできる!」のバラ最強説を残すためにも、まずはバラで確立させようと目論んでいます。
まあ、培養土ですしねえ(*^▽^*)