私は現場の人間です。よって、現場で培った栽培技術を元に栽培理論を展開しています。
独自性が強いのですが、農業者やガーデナーは現場の方々!
現場を基本に考えてもらえば、とてもわかりやすいと思います。

机上の理論の場合、病害虫対策というのは4.病害虫防除のみとなっています。
しかし、これでは栽培が組み立てられず、結局は絵に描いた餅になってしまいます。

現場の理論では、病害虫対策というのは1~6のすべてのカテゴリーでおこないます。
目の前に居る病害虫のみ病害虫防除となり、普段の病害虫対策はすべてのカテゴリーでおこなうことになります。

ただし、別に目新しいことではありません。
以前から、病害虫対策での土作りや施肥、環境整備はごく当たり前に存在しています。

しかし、机上の理論は4.病害虫防除にすべて押し込もうとしています。
「押し込もう」というより、栽培スキルの問題でそこにしか押し込めないとも言えます。
そうなると、当然ながら現場では次々とリスクが発生してきます。矛盾も発生してきます。

この典型が土壌病原菌対策です。バラで言うと根頭癌腫病です。
机上型の場合、土壌病原菌対策=土壌消毒となります。
とても単純な発想ですが、当然ながらこれでは土壌病原菌は止めにくく、土壌消毒は環境破壊にも繋がります。
これが、4.病害虫防除の考え方です。

新しい栽培方法の現場主導型の場合、明確に分けて考えていきます。
土壌病原菌を考える場合、発生要因と蔓延要因というのがあります。
これは後ほど詳しく解説しますが、土壌病原菌というのは土壌の常在菌ではありません。
どこからかやってきて、そこで爆発的に増殖するのが土壌病原菌の特徴です。
そして、当然ながら発生要因や蔓延要因は4.病害虫防除には存在していません。
存在するのは、土作りであったり、環境整備であったり、消毒・洗浄であったりするわけです。
この発生要因と蔓延要因に対策していくのが、本来の土壌病原菌対策となります。

一番わかりやすいのは剪定ハサミの消毒です。
土壌病原菌は植物体内に菌が入り込み、爆発的に増殖します。
よって、剪定ハサミを消毒しながら使用しないと2次感染という蔓延要因が発生します。

机上の理論の場合、剪定ハサミの消毒というのは土壌病原菌対策としておこないます。
よって、4.病害虫防除の中でしか剪定ハサミの消毒をやろうとしません。

現場主導型の場合は、「剪定ハサミは消毒しながら使うものだ!」となります。
(1)土壌病原菌の2次感染を防ぐ
(2)腐食菌の侵入による枝枯れや作物の腐食を防ぐ
(3)万一の怪我でも雑菌が入り込まない
(4)有機的汚れを落とすことで錆を防ぎ、衛生上好ましくない菌の増殖を防ぐ

剪定ハサミをこまめに消毒しながら使うことは、現場の栽培では不可欠です。
よって、2.消毒・洗浄というカテゴリーでおこなうことになります。

ピーキャット流栽培理論は、現場で起こるべきリスクをあらかじめ想定内にして考えていける理論です。
リスクが発生してから対処する机上の理論とは正反対の考え方になります。

これが無農薬化で欠かせない理論です。
無農薬化、安心・安全の提供、環境保全型というのは、現場主導でおこなうべき理論です。
リスクはあらかじめ想定内にしておかないと、これらはまず無理とも言えるでしょう。