今回は、私が一般消費者(ガーデナー)に向けてセミナーなどで話している内容を書いてみようと思います。
農家は一般消費者を知らない…医師や科学者、社会で活躍している人たちが一般消費者です。
そういう人たちにどういう話をしているのか?
主婦の方々にも医師の方々にも理解してもらえるような話になるように心がけています。

私の想いはただ一つ、自然や生態系と文明との共存にあります。
日本が築いてきた日本の食文化、これは日本の優れた品種改良によるモノです。
そして、それを支える慣行栽培技術があります。これを失えば日本は食文化を失うことにもなります。

一方では、世界的オーガニックの波が日本にも押しよせています。
有無を言わさず飲み込んでしまうような巨大な波…とても避けることなどできません。

その中で日本は「みどりの食料システム戦略」という政策指針を提起しました。

「2050年に有機農業用の農地を100万ヘクタール(全体の約25%)に増やす目標などを盛り込んだ新たな農業戦略をまとめた。環境意識の高まりで、有機農産物への需要が拡大しているからだ。今後、普及に役立つ技術開発などを補助金で支援したり、有機農産物を扱うメーカーを減税したりする」
という解説があります。

これには賛否両論があります。いや、反対意見の方が圧倒的に多いかな?

各論は色々あると思いますが、皆さんはどう思いましたか?
「政府も有機栽培推進に動き出したか!」と思いましたか?

私は全然違います(*^▽^*)

オーガニックの波への、大きな防波堤を作ってきたなあ!

岸田さんはどう思っているか知りませんが、私は農水省はそういうことだと思っています。
日本もやってますよお!環境問題に真剣に取り組んでいますよお!農薬は使わないようにしていきますよお!という、世界へのアピール…
アピールすることでオーガニックの波をとりあえず受け止めたいんだと思います。
だから、お得意の見せかけだと思いますよ(*^▽^*)

でも、2050年までに少しずつ変わっていく動きにはなるかと思います。
まずはガーデニングや家庭菜園での農薬使用禁止、農薬を使わなくても生産できる品種の無農薬化などは進むと思われます。
でも、いきなり農薬を失うと日本の食文化が崩れるのは誰もがわかっています。
また、農水省はなんとかしたくてもまわり(農薬メーカーやJA)が言うことを聞いてくれないのもあるんだろうと思います。

紆余曲折の途中って感じですね(*^▽^*)

そもそも、農業での農薬云々言う前に住宅地の庭で農薬使わせたらアカンよね!
ネオニコチノイド系も有機リン系も、農薬をよく知らない一般の方々が使ってます。

でね、話を戻しますが…

日本に有機栽培や無農薬栽培が無くなればどうなるのか?

オーガニックの波の受け皿が無くなるので、一気に波が襲いかかってくる危険があります。
私たち有機栽培農家や無農薬栽培農家は受け皿は小さいですが、しっかり消費者意識を受け止めています。

×消費者をそそのかして儲けようとしている
○消費者を抱えている

私たちは大きな大きな波が襲ってくる前の小さな小さな防波堤だと考えて欲しいんですね。
消費者をそそのかせる能力があるなら農家なんてやってないって(*^▽^*)

そして、小さな防波堤で防げているうちに品種改良なり栽培技術の向上なりで日本の文化を築いていけば良い!
私は遺伝子組み換えも賛成派です。

そういえば、慣行農家がよくこういうことを言っています。

「慣行栽培と有機栽培を分ける必要はあるのか?」

慣行栽培のメリットは高い安定性です。デメリットは品質(味)を落としやすいことです。
有機栽培のメリットは品質を高めることができることです。デメリットは安定性が低いことです。

腕が良い農家は高い品質の作物を安定して作ることを当たり前にやっています。
もちろん、慣行農家は慣行栽培技術を向上させ続け、有機農家は有機栽培技術を向上させ続けています。

その中で…

慣行農家は品質向上のために有機栽培技術を取り入れています!
有機農家は安定性を高めるために慣行栽培技術を取り入れています!

私が皆さんにお教えしている有機栽培はまさにその通りです。農薬も化学肥料も実際は使っています。
しょうもないこだわりよりも、本当の安全・安心そしてクオリティを高めることを有機栽培で実現させるために、農薬も化学肥料も使います。

そう考えれば、分けることに意味は無いとは言えます。
でも、それは栽培技術的な話であって、大義を見てもらえれば分ける意味を理解してもらえると思います。

慣行栽培と有機栽培を両立させることはとても有意義だと私は思っています。

ヒステリックや批判や嫌みは逆効果

慣行農家のヒステリックな批判や嫌みがとても目に付きます。
これ、一般消費者の意見です。

「農薬漬けの野菜なんて危なくて食べられない!」
腹が立つのはとてもわかります。
でも、こういうのを信じるのは最初からその気があった人だけで一般の方々は気にもとめていません。
でも、ヒステリックに批判したり嫌みを言いだすと、それが寄ってたかってになりとても目立ってきます。
寄ってたかってになると、よくわかっていない人も加わって混沌としてきます。

それこそ、相手の思うつぼ!

そもそも、ウチには農薬を良く思っていない一般の方々が来られますが、あの会社は利用してないみたいですよ(*^▽^*)

だから、もったいないんですよ。
私ら有機農家は慣行栽培を批判するよりも自分たちの努力を消費者に理解してもらって商売しています。
だから、わざわざ慣行栽培を批判する意味なんて無いんです。
慣行農家の人たちも、もっと一般消費者に情報発信すれば良いのになあと私は思います。少なすぎじゃない?

慣行農家が慣行農家に語るよりも、農家は消費者に向けて語るべきだと私は思います。

農薬が使えなくなったら…

いや、そんなことが起こるはずがない!と多くの農家は思っていることだと思いますが…
他業界出身の人ならわかるんじゃないかな?

エグいよねえ、国がやることは…

まあ、いきなりそうはならないと思うし、なにがしかの手はいろいろ打ってくるとは思うけど…
先はわからない!
こまかいことはここでは言いませんが…

減農薬・無農薬を意識すべきだし、有機栽培技術はどんどん取り入れるべきだと思っています。
というか、すでにかなり取り入れられてますよね!

私は少なからず農薬を適正利用しようと呼びかけていますが…
ムッチャ嫌われてます(`ε´)