最近、Twitterで無農薬表記が責められたり、「農薬漬け」という言葉で侮辱したり…
よくわからないんですが、いがみ合っているのは農家同士ですよね?
今までのいきさつがあってのことだと思いますが、農家同士なんだからもっと仲良くやればいいのにと思います。
そして、一般の消費者はどうしていがみ合っているのかがさっぱりわかりません。
ですから、一般の消費者の方々にもわかりやすく、なにを言い争っているのかを解説していきますね。

農薬漬けってどういうこと?

この言葉は20年ぐらい前から言われ出した言葉で、もしかしたら有機栽培を志していた私らが言い始めたことかもしれません。

雨が降る前に予防で農薬散布、雨が降った後は治療で農薬散布…
農薬効果を切らさないように、病害虫防除を農薬の残効性だけに頼った栽培を農薬漬けと揶揄していました。
「漬け」というのは、農薬効果をずっと保ったままということです。

短期収穫物の葉物野菜などでは実感はありませんが、果樹やガーデニングの薔薇などでは年間通じての病害虫防除なのでずっと農薬散布されっぱなしに見えます。
週に一度は農薬散布、蔓延時は雨が降る前や降った後にも農薬散布…

昔はこういう農薬散布が珍しくありませんでした。
そして、その名残りは今も家庭菜園やガーデニングの一部で残っていて、農薬の危険性を全く知らない、農薬のことを習ったこともない人たちが農薬の不正利用をしています。

実際、20年前は殺ダニ剤の3日連続散布やなんでもかんでもジマンダイセンとか普通にされていました。
バラ苗生産では、減農薬に取り組んでいたウチでも年間20回程度の農薬散布で、多い生産者だと年間40回ぐらい農薬散布していました。
こういうのはもちろんバラ苗だけではなく…

では、現在においてこのような栽培が未だにされているかというと…
わかりません。
わかりませんが、農薬残留チェックされる流通に乗っている食に関する農作物は農薬漬けの栽培は無理です。

ただ、直売されている農作物、農薬残留チェックが存在しない花卉類、家庭菜園やガーデニングは農薬漬けが無いとは言い切れません。
いや、ガーデニングでは未だに多く存在しています。
一般の素人が、手軽に使えるスプレータイプの農薬を手にして使用回数など厳守できるわけもなく…
毎日シュッシュしてます!ってTwitterでも書いてるのを見かけます(*^▽^*)

まとめますと…
昔は直売所で売っている野菜が農薬が付着したまま並んでいたなんてことは確かにありました…これも20年ぐらい前の話…
今の直売所はチェックがスーパー以上に厳しいところなどあります。
「直売所だとああしろこうしろとうるさくて面倒だから俺はスーパーに収めてるよ」なんて話もあります。

信頼できる店で買えば、農薬残留まして農薬漬けなんてモノは無い!

そう考えて大丈夫です。

農薬を使った作物は食べても安全なのか?

厚労省は安全だとしています。
だから、厚労省を信じる人は安全と考え、厚労省を信じない人は危険だと言うと思います。
これはコロナワクチンでも意見が分かれているように、農薬の食に関する安全性も同じだと私は思います。

だからこそ、消費者が選択できることが大事!

そもそも、食の安全を疑っている人は厚労省や農水省を信じていないのですから…
実は私も行政は信じていません。
信じていませんが、農薬を使った作物を私自身は危険だとは考えていません。安全だと思っています。
これは人それぞれの考えでよろしいかと思います。

ただ、個人の自由ですので他人に押しつけることはやってはいけません。
安全を押しつけることも危険を押しつけることも、最低限プロとしてはやってはいけないことです。

「農薬を使った作物は食べると危険だから無農薬の作物を食べなさい」
「無農薬で育てた作物が安全というのは嘘、農薬を使った作物は安全です」

どっちもTwitterでよく見かけます。良くないですね。

無農薬・減農薬表記が必要な理由

無農薬・減農薬表記に関してもやたら批判されているようです。
では、どうして無農薬・減農薬表記しようとしているのか?から考えてみましょう。

農薬残留チェックは厚労省側、つまりは流通側です。農水省側ではない…
この農薬残留チェックは流通するすべての食に関する農作物にされているのかというと…もちろん不可能です。

農家が直売している場合の農薬残留チェックはされているの?
イチゴ狩りや芋掘りはどうなの?

消費者の方々は普通にそう思ってますよね。
思ってるけど、おそらくはちゃんとされているだろうと信用しています。
ただ、とても不安には思っています。

「心配なら農薬残留チェックされているところからだけで買えば良いじゃないか!」と屁理屈も言いたくはなりますが…
もちろん、それはあり得ないことです。

じゃあ、消費者に安全をアピールするにはどうすればいいか?
それが無農薬であり減農薬です。

× この作物は無農薬だから食べても安全です
○ この作物は無農薬だから農薬残留チェックされていなくても安全です

農家の直売で無農薬や減農薬表記が多いのはこういうことです。

品質管理表すら提示しないのにブーブー言っても仕方ない!

ちょっと自慢しちゃいます(*^▽^*)

なんと、ウチは20年前からすべての農作物に「品質管理表」を付けています!

この品質管理表は、どういう育て方をしたか、生育具合はどうか、どういう資材をいつ使ったかなどが書かれています。
もちろん、農薬を使ったのであればどの農薬をいつ使ったのかをすべて明記します。

この品質管理表さえあれば消費者が保護されます。
もちろん、消費者のことをとても考えている農家なら品質管理表の提示ぐらい当たり前にやっているはず!だよね?(*^▽^*)
あまり見ないけど…

ウチはバラ苗に関しては送る箱ごとに品質管理表を入れていましたが、今はペーパーレス時代なので送る時期になればサイトに品質管理表を提示しています。
施設園芸に関しては作物の種類が多いので、作物の種類ごとに品質管理表を作成して箱に入れて送ります。

私はこう思います。
品質管理表も提示せずに無農薬だ減農薬だと言うのはおかしい!
品質管理表も提示せずに農薬を使った作物は安全だと言うのはおかしい!

どっちもどっちだと私は思います。
安全なのか危険なのかを決めるのは消費者です。その消費者に何も示さずに安全とか危険を押しつけるのは宗教と変わりません。

この品質管理表は農水省は努力義務だとしています。
だから、消費者を守りたい農家はこの義務を果たしています。
JAや市場、量販店、直売所なども、消費者を大事にしているところは品質管理表を提示できます。
自社サイトを持っている農家なら出荷シーズンにはしっかり提示しているはずです。

ウチなんて20年前から…と、ここは自慢させてくださいね(*^▽^*)
口先だけで有機栽培だ無農薬だとは言っていません。

巷で批判されていることが最後に勝つかもね!

私が有機栽培にこだわり、無農薬や減農薬を推奨するのは農薬曝露の危険性と環境保全にたいしてです。
食の安全については、私は言うことはありませんというのは何度も申しております。

食の安全なんて農家にわかるはずもなく…
でも、今の日本はアレルギーがとんでもないことになっていますので農家も見て見ぬフリはできません。
少しでも消費者を大事にすべく、いろいろな情報交換をしたり医療側に情報提供したりしています。
一方で素知らぬふりをする農家も多いんですけどね…

農家は農業のことを考えるだけじゃなくて消費者のことを第一に考えていけるような…
それであれば、もっと農家同士が有意義な繋がりが持てると思っています。

農薬のことも無農薬のことも…
農家の主張ではなく、消費者のことを考えての話であって欲しいと思います。
目線を変えれば…批判していることが正しく思えることもあるかもしれませんね。