農水省も使っている「JAS有機ではない有機農家」という言葉…
農業を知らない人にとっては、なにそれ?と思いますよね。
これ、20年以上前から関わった私が解説します。雑学程度でどうぞ(*^▽^*)
そのうち、生き字引と言われる歳になるのだろうか…
有機栽培というのは、これはJAS有機という規格が出現する以前よりされていました。
うちもJAS有機以前の有機栽培農家です。
そして、有機栽培をする農家は商品に「有機栽培」と書いて販売していました。
そうなると健康思考とかも相まって、「有機栽培で育てた野菜は農薬も化学肥料も使っていないので安心・安全」が広まり、高値でもバンバン売れるようになりました。
俗に言う「有機ブーム」ですね。
そうしたら…
農薬や化学肥料を使っているのに「有機栽培です!」と書いた商品がズラッと店頭に並びだしたんです。
有機栽培農家によっては大迷惑!消費者も騙されて買っちゃう人が続出しました。
これはいかん!と農水省が動き出し、「有機栽培」に商品規格つまりJAS認証となりました。これがJAS有機です。
JAS認証というのは「おれは有機栽培しているんだ!」と嘘をつく慣行栽培農家を追い出すためのものだったんですね。
実際、酷かったです。農薬の臭いがする葉物野菜が有機野菜として売られていました。
だから、規格自体はそれで良かったんですが…
ただ…
そのJAS有機は、実際は栽培技術としてはかなりレベルが低くて良い作物が作れない状態でした。
今までやっていた有機栽培農家はJAS有機を見限り、JAS有機の作物は消費者からも残念がられる始末…
有機ブームは去ってしまいました。
そこで以前から有機栽培をしていた農家はこう思ったわけです。
「あのJAS有機は、農薬利権の罠だったんじゃないか?」
以前から有機栽培をしている農家は技術レベルが高く、あのJAS有機を見れば美味しいモノなど作れないのは目に見えています。
実際は、JAS有機自体が走り出したばかりで栽培技術としては当時はまだ成り立たないレベルだったということでしたが…
いや、事実はわかりませんがそう思いたい…他省庁のような利権とか既得権益とかではないと…
で、私らの考えはこうなったんですね。
「じゃあ、俺達は独自で有機栽培しよう!」
これがJAS有機ではない有機農家の始まりです。ウチもここです(*^▽^*)
ただ、JAS有機からすれば「JAS有機ではない有機農家」は困った存在です。
だから、「有機」という言葉を徹底的に奪うことで有機栽培を独占しようとしました。
これに対し、JAS有機ではない有機農家は「有機」という日本語を奪われ激怒したかというと…
有機とパッケージに書けない?別に良いんじゃない?
となったわけですね(*^▽^*)
心が広いでしょ!ということではなくて、そもそもがクオリティで勝負している有機農家なので別に有機という名前で儲ける気などなかったわけです。
ウチも別にそれならそれでいっか!みたいな感じですね。
そもそも、ウチの有機栽培は自然・生態系保護が主なので気にしなかったですね。
ただ…
そもそも、有機栽培というのは栽培技術なんです。
人間の培った文化・文明での権利を侵害することはもちろんされることはありません。
パッケージにさえ「有機」と書いたりしなければ名乗ることも消費者に伝えることもOKではあるんです。
ですから、パッケージ以外は平気で「有機」を使ってますし、OKなのは確認しています。
でも、お役所は曖昧な表現で脅迫してきますからね。
ウチはぜんぜん意識していませんが、「農薬不使用」とか表現されることはよろしいかと思います。
JAS有機…商品規格
有機栽培…栽培技術、文化・文明
こう覚えていただければ大丈夫かと思います。
やあやあ言われたら、「権利の侵害」と言えばそれで良いです。私はそれですべて返します。
農業は20年前は高齢化産業、現在は超高齢化産業ですから、あの当時頑張った有機農家はかなり数少なくなってきました。
でも、今は「JAS有機ではない有機農家」はたくさんいます。
では、現在の「JAS有機農家」と「JAS有機ではない有機農家」は何が違うのか?
これは私の解釈ですが、JAS有機は食の安全と環境保全、JAS有機ではない有機は環境保全とクオリティと考えています。
私はJAS有機ではない有機農家なので食の安全については何も言いません。というか、言うべきではない。
JAS有機以前の有機農家って、食の安全ってあまり言わなかったですね。
それよりも美味しさ追求、私の師匠は京野菜の達人でしたが食の安全はわかるはずもなく(*^▽^*)
ああ、なんか年取ったなあ(゜´Д`゜)
それと、JAS有機もクオリティ上げてきてますね!
だから、消費者の方々は美味しいモノを食べてください!
有機の野菜を食べれば食べるほどあなたも環境保全していることになります。